新卒1年目の観聞日記

2017年3月に大学を卒業した若造の雑記です。

網野善彦

網野善彦氏の『日本の歴史をよみなおす』という本を読んだことがあるだろうか?

 

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)

 

 

網野氏は、日本中世史の研究者であり、網野史学と呼ばれるほど中世史研究に大きな功績を残した人物である。

氏は2004年にご逝去されたが、その影響は今なお色濃くあり、現在活躍されている研究者の専門書でも必ずと言って良いほど言及されている。

 

現在では批判的に見る意見も多いが、網野氏の築いた中世世界の基礎概念は多くの研究者に共有されている。

 

その概念の一つが、「百姓と遍歴民」である。

 

網野氏は、中世においては、百姓=農民ではなかったと何度も主張する。

多様な地理的特徴を持つ日本の中において、海民もいれば山民もおり、その総称を百姓であると述べる。

(現在では、農業を担う人々が小規模な農業を行うなど、多様な複業で生計を立てていたと考えられている)

 

中世においては、年貢が必ずしも米に指定されているとは限らず、塩や絹などもあったことから、海民・農民・山民・商工業者の間で交易が行われたとされる。

 

その交易の場は「市」である。

そして、市には天皇や神社・寺に奉納物を奉じることで、営業の権利や交通税を免除された「供御人・神人・寄人」と呼ばれる遍歴民がいたことが知られている。

これらの人々のうちには、商工業者以外にも、近世において被差別民や位の低い人々とみられた「非人・遊女」なども含まれた。(遊女については諸論あるが)

 

網野史学においては、これらの人々は中世においてはまだ確実に賤視されてはいなかったが、南北朝の動乱後、正当な天皇権力が武家政権に接収されると、徐々に権威を失い、近代に近づくにつれて差別的(下位的)に扱われるようになっていったとされる。

 

この他にも、網野氏が気付きあげた中世世界は、我々が今まで日本史の常識として捉えていたことがひっくり返される魅力を備えている。

 

歴史が好きな人にも、今まであまり歴史に触れてこなかった人にも、驚きとさらなる探究心を与える一冊であることは間違いない。

 

この一冊で、歴史を見る目が変わる。

 

以下は、私が学生時代に書いた論文である。

当時はWindowsで縦書きで書いたが、現在はMacでアップしたため少々読みづらくなっており、大変申し訳ございませんが、何卒よろしゅう。

また、Googleドライブで開いただけの状態では、文字化けがあるが、

Googleドキュメントで開く」を押して見てもらえれば読みやすくなります。

論文 - Google ドライブ

 

網野氏にも多く触れている。

今見てみると冗長で稚拙な表現も多く気恥ずかしいが、お手隙の際に読んでみてもらえれば、これ以上の喜びはない。

 

褒められることはないと思うけれど、怒りもしないでくださりたく候。